「STAND」インタビュー記事 つちやゆみこさん

最終更新: 2019年7月11日


インタビュー第四回は、つちやゆみこさんです。音楽などのお仕事で舞台に立つことも多いゆみこさん。地元で起こった’いすみ×えんげき’プロジェクトに出会ってどのように感じ、公演を終えて今何を思っているのか、本番当日に起こっていた驚きのエピソードも含め、お話を伺いました。

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つちやゆみこ

いすみ市出身いすみ市在住。

ピアノ・声楽・合唱指導、手話パフォーマー。

藍野音楽教室で音楽指導をしながら、いすみで開催されるミュージカルや朗読劇などイベントにも多数出演。

2018年9月からいすみ×えんげきワークショップに参加。

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ーゆみこさんはいすみのご出身なんですね。

ゆみこ:

そうなんです。こういうところで言うと逆に珍しがられるんだけど。(笑)いすみで生まれて何十年も東京と行き来する生活を送っていました。

高校時代はレッスンで毎週東京へ、音大へ進学した後はピアノを教えるために毎週いすみへ、地元の人と結婚した後もディズニーでの仕事やレッスンへ日々通ってたので、完全に戻ってきたのはここ数年ですね。

地元に目を向けたらなんだか不思議で面白いことをする人たちが何人もいて、東京よりも地元の方が面白いなって今は思ってます。


ー‘いすみ×えんげき’プロジェクトに参加したきっかけを教えてください。

ゆみこ:

もともと演劇が好きでした。学生時代は演劇部で本当はそっちの道に進みたかったんだけど、当時自分の周りには進むルートがなく、それで音楽の道に進みました。だから演劇は私にとってワクワクする特別なワード。最近は朗読劇やミュージカルなどいすみの中で演じられる場が増えてきて、嬉しいなぁと思っていたら、今度は奈々ちゃんがえんげきワークショップをやるというので、ピンと来て参加を決めました。


ーワークショップに参加してみて、実際はどうでしたか?

ゆみこ:

戸惑いましたね。私にとって演劇はスイッチを切り替えて日常とは分けるものと思っていたけど、今回の’えんげき’では演劇っぽくしないでと言われて。「えー!」となりました。


穂積奈々(以下奈々):

ワークショップの最初で、ゆみこさんが、「仮面を外した自分を見てみたい」と言ってたのが印象に残ってます。


ー仮面は徐々に外れていったのでしょうか?

ゆみこ:

普段から音楽教室では講師の仮面、サークル活動ではそこでの役割の仮面をつけているから、それを外すことに最初は抵抗がありました。でもできるようになったのはメンバーのおかげですね。みんながどんどんさらけだしていくのを見て、「これは私もお腹の底から見せないとつながっていけないな」と思って。そうしたらだんだん抵抗も無くなって、さらけだすことが心地よくなっていきました。

(写真提供:いすみ×えんげき)


奈々:

ゆみこさんは、会えば会うほど好きになっていく感じがしました。


ゆみこ:

そんなに嫌いだったんだ笑


一同:

爆笑。


奈々:

そういうわけじゃなくて。笑 

本当のゆみこさんを知れば知るほどこの人はすごいなって思わせてくれるメンバーでした。深み、というか、インパクトが大きいというか。嫌いじゃないよ!笑


ーお稽古と本番でここが違ったということはありましたか?

ゆみこ:

違い、というより本番当日、実はめちゃくちゃ体調が悪かったんです。


ーそうなんですか!?

ゆみこ:

そうなんです。本番当日の未明から突然具合が悪くなって、気持ちも悪いし頭も痛いし、薬を飲んでも全然ダメで。入り時間を30分遅らせてもらって、会場に着いてからも毛布をかぶって休んで、舞台に出ていく順番も最後にしてもらって、ギリギリまで出られるかわからないような状態でした。


ーそんな緊迫した状況だったんですね…


柿本マミエ(以下マミエ):

演出助手の麻生さんが、「いざとなったら本を持って私が代役務めます」って言ってくれて。でもどうしてもゆみこさんとやりたい!って私は泣いて笑。


ゆみこ:

やってみるまでわからないという状況で、なんとかスイッチを入れて舞台に出ていって。序盤の詩を読むシーンは、私のセリフから始まるんですけど、第一声が出た瞬間に、「よし!」と思いました。


奈々:

あの一言でいけるな、と思いました。


マミエ:

女優魂を見たよね。


ゆみこ:

一言目が出たらなんとかなるというのは、これまでの舞台経験から思っていました。私の分までみんなが頑張ってくれて無事終えることができて本当によかったです。そんなギリギリの状況だったから、吊り橋効果というか、本番でまた一気にメンバーが一致団結できたとも思います。


ゆみこ:

公演を終えた後も1週間くらいはほとんど何も食べられなくて、結局5キロくらい痩せちゃいました。


奈々:

デトックスしたんだね!ゆみこさんは『STAND』の後、どんどんキレイになっていった気がする。相当負担だったなって思ったもん笑


ゆみこ:

負担ということはないけど笑。学生の頃から個人でやることが多かったから、みんなで集まってワイワイとやることが本当に新鮮で。練習中はずっと試行錯誤して、みんなで徹底的に話し合ってきたから、一緒に山を越えたっていう感じがしますね。終わって全部解放したのかもしれないです笑。


ー特に印象に残っているシーンはありますか?

ゆみこ:

やっぱり鍋のシーンかな。実際にみんなで調理実習もやったんですよ。それぞれが担当する野菜を調理して、本当に美味しいことを知った上で再現したから、よりリアルで強い一体感が出たんだと思います。何もないところで演じてるのに、ものすごくエネルギーを感じることができました。



(写真提供:いすみ×えんげき)


ーメンバーの方たちに対してはどんな思いがありますか?

ゆみこ:

田舎で暮らしてきて、自分の興味があることを話しても受けとめてくれる人はあまりいませんでした。でもここでは、それをすくい上げて受け止めてくれるメンバーがいる。それがとても居心地が良かったです。東京に行って自分の居場所を見つけることが多かったけど、地元に自分の居場所があると実感できるのは嬉しいですね。


―『STAND』はゆみこさんにとってどんな存在ですか?

ゆみこ:

私たちのために書かれたオリジナルの脚本であること、また、お鍋のように自分たちで煮込んでいったお芝居なので、とても大切な作品ですね。


ーえんげきプロジェクトの今後についてこんな風に関わっていきたいなど、ビジョンはありますか?

ゆみこ:

俳優としてなのか裏方としてなのか、これから自分がどんな関わり方をしていくかはわからないけど、スターティングメンバーとして関われたのは誇りだし本当に良かったと思います。これから’いすみ×えんげき’の輪が広がって次の世代まで繋がっていってくれたらいいなと思います。いすみの中にぽちょんと、えんげきというものが一粒落とされた。今後どんな風に育っていくのか楽しみです。



ゆみこ:

私は、音楽をメインに、手話パフォーマンス、朗読、アナウンスと様々な形で自分の表現を追求してきました。全てが集まって今の自分があります。子供達の中には今悩んでいたり、学校が嫌と思っている子もいると思うけど、大丈夫。とにかく自分が好きなことを深く深く続けていけば、楽しいことがたくさん待っていて仲間にも出会えるよ、と言いたいです。それは大人も同じで、寄り道しても、幾つになっても、好きなことをやっていけば出会えるってことを知ってもらえたらな、と思います。


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書き手 くまさかゆかり

千葉県出身。東京在住。 会社員、時々ライター。

2017年に初めて訪れて以来いすみのファン。自然の美しさや自分らしい生き方を実践する人たちとの出会いに刺激を受ける。2019年2月の『STAND』公演を鑑賞し、感想文を送ったことがきっかけで役者の方へインタビューをすることに。「その人の真ん中にあるもの」をくみとれる書き手になるべく修行中。

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(写真:穂積奈々)

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