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「STAND」インタビュー記事 柿本マミエさん

最終更新: 2019年7月11日

いすみ×えんげき『STAND』インタビュー第二回は、柿本マミエさんです。

『STAND』で人生のすべてが変わったというマミエさん。

渋谷生まれ渋谷育ちのマミエさんが、いすみでどのようにえんげきプロジェクトと出会い、えんげきを通して何を感じ、公演を終えてどんな思いでいるのかを伺いました。



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柿本マミエ

渋谷区出身。いすみ市在住。

イベント企画、三姉妹のお母さん。

田舎暮らしから宇宙の話まで、日々綴られるブログには愛を生きるためのヒントが満載と熱烈なファンも多い。https://ameblo.jp/mami-pro/

「愛の度数を上げる」をテーマとした初の著書「恋に落ちて上がる愛の度数」がギャラクシーブックスから2019年発売!

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ー『STAND』の公演を終えて、今どんなお気持ちですか?

マミエ:

だいぶ時間が経ってしまった感じでとにかく喪失感が大きいです。全身全霊で取り組んでいたので。大成功だったしすごく成長できたと思うけど、そこで満足しないのが私。阿藤さん(劇作家の阿藤智恵さん)からもお稽古した方がいいとアドバイスをもらって、今一人芝居劇の台本に取り組んでいます。『STAND』があって、私の表現する欲に火がついちゃった感じです。


ー私はマミエさんを「表現する人」と見ていましたが、ご自身はどのように感じていたのでしょうか?

マミエ:

私自身ずっと表現者ではあったと思います。でもそれをずっと抑えていました。渋谷で生まれ育って、まわりにはプロの女優や、俳優、モデルとすごくハイクォリティな人が多くて。昔はモデルをしたり表舞台に出たりもしたけど、そこまで芽も出なかったし、がむしゃらにもなれなかったんです。まわりのキラキラした人と比べて、自分をバーンとは出せませんでした。界隈ではずっと目立つ存在ではあったけど、結婚・子育てをしていく中で縁の下の力持ちになろうともしていたし、歌うことや、踊ること、書くこと、しゃべること、どれも大好きだけど、今さら私がやらなくても、と思っていました。でも出たいって満たされない気持ちがずっとあったんだと思います。


ーそれがいすみでどのように変化していったのでしょうか?

マミエ:

いすみに引っ越してきて、まわりにはその人なりの表現を自由にしている人たちがたくさんいて。比べたり遠慮したりすることなく思いきりやっちゃっていいんだって気づきました。以前にミュージカル(※劇団いすみっこと仲間たち2017年10月公演)に出た時も、最初は「自分は目立つから抑えなきゃ」なんて思ったけど全然!そんな心配は全くいらない本格的なお芝居で、全力でぶつかっていくことができました。



演技することの概念が180度変わった、

えんげきとの出会い


マミエ:

自分を表現する機会が増えてきた中で、奈々ちゃんからえんげきプロジェクトの話を聞いて、すぐに「やる!」と手をあげたんです。でもまさかこんなに哲学的なものになると思ってませんでした。


―哲学的、と言いますと?

マミエ:

演出家の司田さんとのワークショップが、本当に「演技をしない」ワークショップだったんです。最初は「桃太郎」の物語を読んだのですが、桃太郎の話って「むかーしむかし、あるところに」って大体みんな同じような読み方になるじゃないですか。でも「桃太郎の話を説明してください」って言われるとその人らしさが出るんですよね。それから各自が桃太郎を好きなように表現するというのをやったらそれぞれ全く違ったオリジナルなものになって。とても刺激的な時間でした。


ー演技をするということへの概念が変わっていったんですね。

マミエ:

それまでは自分じゃないものになりきることが演技だと思っていました。司田さんたちのやり方は全く違っていました。誰かが言ったことを真似する、それも演技ではないか、と。例えば嬉しかった体験を思い出して話す時、自分の中の「水位」が上がる、その「水位」を隣の人が真似をする、これも演技じゃない?ってなって。現実と演技の境目が消えていく体感。司田さんはきっと日常をえんげきと感じて脚本を書かれたのだろうなと思います。



(写真提供:いすみ×えんげき)


マミエ:

本人にしかできないものだからと私たちから出てくる表現はとても大切にしてもらいました。お稽古中にアドリブが出てきて、その人らしければ脚本に加えられたりすることもあったんですよ。


ーそうして磨かれていった6人のための脚本。稽古をしていく中で特に印象に残っていることはありますか?

マミエ:

初めて自分の柔軟性が恨めしいと思ったのは印象に残ってます。

私は器用でフレキシブルだから、セリフの意図をすぐに納得できちゃうんです。でも他のメンバーが「なぜここでこのセリフが出てくるんだろう」とか「これは違う」とこだわって悩みながらやっているのを見てカッコいいなと思いました。こだわりがあるから追求できるし理解も深まると思うんです。自分の柔軟性にイライラしちゃうほど、みんなの葛藤している姿が素敵で刺激を受けましたね。


ー演じてみて特に難しいと感じたシーンはどこですか?

マミエ:

3人の生まれるシーンはとても難しかったですね。

(生まれるシーンとは、劇の序盤のシーン。娘が生まれた日の話、桃太郎、竹取物語、それぞれを演じてる3人の俳優のセリフが絶妙にリンクをしながら交互に展開し、異なる3つの世界で同時に赤ん坊が「生まれる」。)

あのシーンは3つの世界で同時に生まれないと何の意味もないシーンになってしまうので、3人のテンポ、トーン、体、すべてを使って同じところに向かい、空気をつくっていくことがとても難しかったです。


ー本番ではうまくいきましたか?

お稽古の後半はだいぶ「生まれる」ようになったけど、やっぱりお客さんが入った時の方がやりやすかったです。私がセリフを言った瞬間、観てる人たちの「え?」という空気が伝わってきて、自分たちがこの場の空気をつくっているんだ、と本当に自覚できました。



(写真提供:いすみ×えんげき)


俯瞰で見ること、空気を味わうこと、自分が自分の世界をつくること


ー「場の空気をつくる」ということをもう少し詳しく聞かせていただけますか?

マミエ:

自分の感覚を開いて、例えば“宇宙”に意識を向けながら立つとしますよね。立った時に自分がお客さんに見られている状態を把握して、自分の意識は”宇宙”に向いているけど、歩いた時にその場の空気がどうなっているかお客さんがキャッチしていることを把握する、そこから自分がこの場にどんな影響を与えているかを把握してそれを味わう。司田さんとのお稽古では「場の空気をつくること」を常に意識させてくれたので、それが私にはとてもわかりやすかったです。


マミエ:

本番間近のお稽古でメンバーみんなで荒木根ダムへ行ったんです。そこで「いー!」と言ったら「いー!」って返ってきて。それはものすごいメッセージでした。あの瞬間、テレパシーが使えるようになったと思う。私たちがつくる空気で世界を変えることができるとわかってしまった。錬金術士のように。


「自分が自分の世界をつくっている」ということは、私自身が発信し続けてきたことだったけど、それが本当だったと心から実感した瞬間でした。あぁもう本当にすごいところまで来てしまったな、と思いました。



美しい自然に囲まれた荒木根ダム(写真提供:柿本マミエ)


ーそうして確信をもって臨んだ本番。終えてみてどのように感じられたのでしょうか?

マミエ:

観てくれた人が涙を流してくれてたり、様々なことを感じてくれたのを見て、人ってこんなに感受性が豊かで受容できるキャパシティがあるんだ、と思いました。『STAND』は具体的に「これを伝える」という物語ではないのに、真実って伝わるんだな、って。菜央くん(※NPOグリーンズ代表鈴木菜央さん)は「今まで観た映画や舞台の中で一番よかった。あんなにハンマーで頭を殴られたような経験はない!」とまで言ってくれて。そんな風にいろんな人がそれぞれに受け取ってくれたのがとても嬉しかったです。


ー ー緒に演じたメンバ:ーへの方たちに、今どのような思いがありますか?

マミエ:

もう大好き!本当に好きすぎて(笑)。奇跡のキャスティングだったと思うんです。6人それぞれが名俳優で、表現者の集まりだったから。えんげきが無ければ集まることのなかったメンバーだけど、こうなるべくしてなったのだな、と。私たちは何か使命を持ってこの脚本をもらったんだと、伝える役目を与えられたんだと思っています。



(写真提供:いすみ×えんげき)


ーあらためて『STAND』はマミエさんにとってどんな経験でしたか?

マミエ:

すべてが変わったと言っても過言ではないくらい人生を変える経験でした。世界創造が確信に変わって、自分というレッテルも完全に消えて何にでもなれるとわかりました。私、女優なんで^^

熱が冷めないうちに動いていこうと思ってて、カフェトークをやったり、発信をしたり。一人芝居も決まっているし、新しいことをどんどんやっていきたいです。


―一人芝居、楽しみにしています!

マミエ:

ありがとうございます。頑張ります!



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書き手 くまさかゆかり

千葉県出身。東京在住。 会社員、時々ライター。

2017年に初めて訪れて以来いすみのファン。自然の美しさや自分らしい生き方を実践する人たちとの出会いに刺激を受ける。2019年2月の『STAND』公演を鑑賞し、感想文を送ったことがきっかけで役者の方へインタビューをすることに。「その人の真ん中にあるもの」をくみとれる書き手になるべく修行中。

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(写真:穂積奈々)